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2015年7月3日

うるう秒について

pic1う る う 秒

今年の7月1日に「うるう秒」の挿入が実施されました。テレビ等でもかなり大きく伝えられたのでご存知の方も多いでしょう。しかしこのうるう秒について正確に理解されている方は意外と少ないようです。
ここでは、できるだけ簡単にご説明しましょう。

今、われわれが普通に使っている時刻は、日本標準時(JSTと略します。)で、これはいわゆる世界時(UTと略します。)よりも9時間進んでいます。しかし、たったこれだけの記述の中にも、厳密にいえば不正確な部分があります。つまり、日本標準時が準拠するのは、世界時そのものではなく、協定世界時(UTCと略します。)と呼ばれるものなのです。

多分、1949年に最初の原子時計が作られたのですが、それ以降原理的な正確さから原子時計は発展を続け、特にセシウム原子時計は国際原子時(TAI)のベースとなりました。現在の国際単位系(SI)の秒の定義は、このセシウム原子時計を用いてなされています。
協定世界時の刻む一秒は、上の国際原子時と同一です。つまり、原子時計に基づく時刻です。

一方、本来の世界時は地球の自転に基づいて決められます。実はUTにも、厳密にいえばUT0,UT1,UT2の区別があります。本来、観測に係るのはUT0なのですが、これに地球の自転軸の僅かなブレ(これは経度の微小な変化となって現れます。)を平均化して補正を加えたものが、UT1、さらに自転速度の季節的な変化を平均化してUT1を補正したものがUT2です。

地球の自転速度はそれほど一定不変なものではなく、複雑に変化しています。そのため常に一定の速度で時を刻む原子時計と世界時とは合わなくなってきます。協定世界時は、世界時(UT1)との差が0.9秒を超えないように管理する決まりになっているので、それを調整する手段が、うるう秒の挿入または抜き取りですが、1970年以降行われているうるう秒の調整は、すべて挿入です。

2015年7月1日現在、協定世界時は国際原子時に比べて、正確に36秒遅れているわけです。

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